【外国語対応ノウハウコラム】機械翻訳を使うときの5つの注意点

機械翻訳を使うときの5つの注意点

AIの活用によりその精度向上が近年著しいと話題の自動通訳機や自動翻訳機。大御所お笑いタレントをCMに起用したソフト・ハードウェア開発・販売会社の通訳機やGoogle翻訳の名は、2020年3月までのインバウンド(来日外国人観光客)の活況も手伝い、一度は目や耳にしたことがある方も多いと思います。

自動通訳機も自動翻訳機もコアとなる部分は同じ、大学や研究機関、業界では数十年前から研究、開発が続けられている「機械翻訳」と呼ばれる言語置換システムです。自動通訳は機械翻訳に音声認識と音声出力機能を加えたもの、と言えばより理解が進むのではないでしょうか。

さて、この機械翻訳、Google翻訳だけでなくさまざま企業や団体が無料、有料で提供しています。「機械翻訳」「自動翻訳」とインターネットで検索すれば両手に余るほどのサービス(ツール)がすぐに見つかると思いますのでここでは詳細を省きますが、その精度向上に伴ない翻訳業界でもこの機械翻訳の活用が近年急速に進みつつあります。

読者の中にはGoogle翻訳を使われたことのある方もいると思いますが、結果はいかがでしたでしょうか?本記事では、機械翻訳を使ったことのある方や、これから使うかもしれない方への心構えや注意点についてご説明します。

情報漏洩のリスクを念頭に使う

一般的に普及している機械翻訳は、無料かつオンライン(ウェブサイト)上でサービス(ツール)を提供するものがほとんどです。

  • サイトにアクセスする
  • 翻訳したい文章を入力する(手打ちまたは、コピペなど)
  • 翻訳したい言語を指定する
  • 翻訳された文章が表示される

わかり易く言うとこのような流れで簡単に使うことができるサービスですが、注意すべき点がひとつあります。それは「ウェブサイト上にドキュメント(文書)の内容をアップロードしている」ということです。つまりそれは、「自分がアップロードしたドキュメント(文書)の内容を、(サービス(ツール)提供、運営会社など)自分以外の誰かが見ることができる可能性がある」ということです。

また、それだけでなく機械翻訳はそのコアとなる「機械翻訳エンジン」を中心にすべての工程を(コンピュータ)システムが行なうため、予期せぬエラー等により個人がアップロードしたコンテンツが他のユーザーに見えてしまう、つまり情報漏洩の可能性もゼロではありません。

プレスリリースやニュースリリースなど、当日その時間まで絶対的な秘密厳守が求められるコンテンツがもし事前に漏洩しまったら、アップロードした本人はもちろん、所属する会社、団体やステークホルダーを巻き込む甚大な損害につながる可能性もありますが、(利用規約にその旨定められていることもあり)サービス(ツール)提供会社が損害を保証してくれることはありません。

以上のことから、機械翻訳サービス(ツール)を利用する際は、翻訳者や翻訳会社に翻訳を依頼する場合と比べてシステム面での「情報漏洩リスクが高まる」ことを念頭に行なうようにしましょう。

翻訳結果を鵜吞みにしない

「ちゃんとしたものが出来て当たり前」

機械翻訳を利用される方の多くはそのようにお考えだと思います。そしてサービスとして提供する以上、そうあるべきだと思います。しかしながら実際にはそうではありません。機械翻訳した結果(品質レベル)がそのまま実用に耐え得るかというと、残念ながらまだその域には達していないということです。

外国語に少し自信があるかもしくは、堪能な方は試しに使ってみるとすぐにそのことを実感できます。外国語に自信のない方でも、どこかのウェブサイトで公開されている外国語の記事などを試しに日本語に翻訳(和訳)してみれば、同じくその結果を確認することができるでしょう。

日進月歩で日々改良、進化しつつある機械翻訳(エンジン)であり、その精度向上には(翻訳業界にいる執筆者にとっても)驚かされるばかりですが、それも「まったくできなかったことが、まあまあできるようになった」という表現が適切と思われる程度の進化です(もちろんそれはそれで素晴らしいことです)。

よって今現在、機械翻訳したものをそのまま実用化(公開または、公式に利用する)する場合は、「これは機械翻訳したものです」と免責事項が併記され、翻訳の間違いに起因する問題や損害、被害が甚大と見込まれ、責を免れることができない可能性のあるケース(翻訳案件)では、MTPE(ポストエディット)と呼ばれる「機械翻訳したものを人(プロ翻訳者)が修正する」といった方法で対処しているのが実情です。

いつか遠くない未来、100%の信頼を以て機械翻訳(した結果)に接する(利用する)ことができる日が来ると思いますが、今の段階では「翻訳結果を鵜吞みにしない」ことを念頭に機械翻訳サービス(ツール)を利用するようにしましょう。

翻訳後より翻訳前の文章を修正する

外国語に少し自信があるかもしくは、堪能な方が機械翻訳を利用した際、生成された結果(翻訳された文章)が思わしくないものであることはすぐにわかると思います。そのような場合、外国語ができるがゆえについ自分で翻訳された文章に手を加えがちですが、翻訳の元とのなった文章(原文)を修正するほうが解決が早い場合が多いのです。

「美しい翻訳文は、美しい原文から」とお客様にお伝えすることが当社でも多いのですが、乱暴な言い方をすると「まともでないものから、まともなものは生まれにくい」のが翻訳です。また、日本語と外国語では文法構造がまったく異なるものがほとんどであるため、翻訳の元となる文章(原文)が曖昧なもの(下手)だと、翻訳された文章は目も当てられないようなものになります。

機械翻訳を使う際のコツとしては、

  • なるべく短い文章にする(一文節を短くする)
  • 日本語の文章で抜けがちな主語を加える
  • 慣用句や故事成語など日本人にしかわからない内容は含めない

といったものが代表的ですが、「機械翻訳_注意点」でインターネット検索すればそれ以外にも多くのコツを見つけられると思いますので、是非ご活用ください。

翻訳の元となる日本語の文章(原文)に主語を入れたり、表現を明確にすべく修正を入れていると、自身が書いたものでさえ如何に曖昧で、さまざまな解釈(誤解)を誘発する可能性があるかに気付くことができます。

日本語はハイコンテクスト(文脈、脈絡、背景)という特徴があり、一つひとつ言葉で説明しなくても読者に伝わるものです。しかし裏を返せばそれは、日本語を母語とする民族である日本人以外にはまったく伝わらないことを念頭に、「翻訳前の文章を修正」しながら機械翻訳サービス(ツール)を利用するようにしましょう。

ツールによって精度が異なることを知る

機械翻訳はGoogle翻訳だけでなくさまざま企業や団体が無料、有料で提供していると冒頭でお伝えしました。また、機械翻訳はそのコアとなる「機械翻訳エンジン」を中心にすべての工程を(コンピュータ)システムが行なうこともお伝えしたとおりですが、機械翻訳サービス(ツール)を提供している組織(企業、団体など)も多ければ、そのコアとなる「機械翻訳エンジン」もいくつもの組織(企業、団体など)が開発しています。

なかには同じ機械翻訳エンジンまたは、複数の機械翻訳エンジンを搭載した機械翻訳サービス(ツール)を提供している組織(企業、団体など)もありますが、この機械翻訳エンジンの違いによって翻訳の精度(品質)も変わることを理解しておきましょう。

Googleを筆頭に機械翻訳エンジンの開発元には世界的企業から中小企業、国立の研究機関までさまざまですが、それぞれ異なった方法やルートで収集したコーパスと呼ばれる「テキストを大規模に集めてデータベース化した言語資料」を元に、独自のアルゴリズムで翻訳文を生成しているので、結果が異なるのは当然でしょう。

どの機械翻訳サービス(ツール)がどのようなドキュメント(文書)の翻訳に向いているか否か、といった話はここでは割愛しますが、無料のものは汎用性、有料のものは専門性が高いという認識を以て、各社(企業、団体)が提供する機械翻訳サービス(ツール)を利用してみることをお勧めします。

翻訳者や翻訳会社によって得意、不得意言語や分野があり、納品される翻訳の内容が異なるように、「ツールによって精度が異なる」ことを念頭に機械翻訳サービス(ツール)を利用するようにしましょう。

内容を理解できる「人」が必ず最終確認する

前項「翻訳結果を鵜吞みにしない」でお伝えしましたが、機械翻訳しただけの翻訳文をそのまま使うのはまだ危険です。よって、最後には必ず翻訳された文章を、その良し悪しを理解できる方が確認するようにしてください。

コンピュータシステムという機械が独自のアルゴリズムに基づいてシステマティックに行なうがゆえに逆に原因がわかりにくいのですが、文節や文章が丸ごと訳漏れしている(翻訳されずに翻訳文から抜けている)こともあるのが機械翻訳です。それ以外にも、同じ用語や単語なのに、文章のなかでさまざま翻訳が行なわれていたりすることもあります。さらに、人名や固有名詞などは、日本語で読む場合でも度々確認の必要性があることからおわかりいただけるとおり注意が必要です。

AIの活用により、生成される翻訳がより「それっぽく」つまり、なめらかで人間的な文章になったがために、かえって間違いや抜け、漏れに気付きにくくなったと言われているのが最近の機械翻訳です。翻訳結果だけでなく、「低コスト」「短納期」「AI」といった耳障りの良いセールストークも鵜呑みにすることなく、冷静に翻訳されたものが使えるかどうかの品質チェックが必要です。

機械翻訳サービス(ツール)を利用した場合は必ず、内容を理解できる「人」が必ず最終確認するようにしましょう。

まとめ

以上、「機械翻訳を使うときの5つの注意点」でしたがいかがでしたでしょうか。

機械翻訳は今後ますますその精度を増し、平易な内容で翻訳品質がさほど問われないドキュメント(文書)、たとえば

  • ECサイトの製品、商品案内のように単語の置き換えに近いもの
  • 近しい相手とのあいだのビジネスメール
  • プライベートのSNS投稿用記事

などへの活用は一層拍車がかかっていくと思われます。

無料で使えるものもあるという点でも社会的な存在価値は高く、その上手な活用方法については当社も翻訳会社、翻訳業界の一端を担う組織として今後も研究を重ねていきたいと思いますが、現時点ではここまでご説明してきたとおりの状況ですので、安易に利用することにより大きな失敗をされることだけは避けていただきたいと思います。

機械翻訳の利用方法でお悩みの方は、どうぞお気軽にお問い合わせください。

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