【外国語対応ノウハウコラム】機械翻訳とプロ翻訳者による翻訳 5つの違い

機械翻訳とプロ翻訳者による翻訳 5つの違い

Google翻訳やDeepLを筆頭に、AIの活用による技術進歩に伴なう精度向上が近年著しい「機械翻訳」ですが、メリットの多いとても有益なサービスです。

一方、プロ翻訳者という「人間」による翻訳、つまり「人手(ひとで)または、人力(じんりき)翻訳」が、実務、技術、芸術、出版等の翻訳に於いていまだ重要な位置付けにあることに変わりはありません。

これら「機械翻訳」と「プロ翻訳者による翻訳」は何が違うのでしょうか。本記事ではその違いと、サービスを選択する際の注意点についてご説明します。

※本記事では、「純粋な翻訳作業により対価を得ている人すべて」を「プロ翻訳者」と定義しています

※尚、「翻訳支援ツール」は(機械翻訳ではありませんので)本記事で使用される「機械翻訳」には含まれません

翻訳コスト

「機械翻訳」と「プロ翻訳者による翻訳」、最初の違いは「翻訳コスト」です。

機械翻訳の翻訳コスト

冒頭のとおり、Google翻訳やDeepLといった一般公開されている機械翻訳サービスは、ブラウザー上やアプリ上での利用が誰でも可能である上に無料です。「翻訳」というキーワードで簡単に検索、利用することができるので、外国語に接する機会のある人の多くはすでに利用しているものと思われます。

機械翻訳サービスには翻訳会社や専業メーカーが独自開発、提供しているものもあり、パッケージ(CD-R、DVDなど)やオンライン(サブスクリプションモデル)で販売されていますが、買取もしくは月額利用が可能です。これらに必要なコストを「文字あたり」や「単語あたり」といったプロ翻訳者による翻訳では一般的な単位あたり料金に換算、比較してもその安さは圧倒的であるため、「翻訳コスト」だけをみれば機械翻訳の価格優位性は揺るぎないものと言えます。

プロ翻訳者による翻訳の翻訳コスト

一方、プロ翻訳者による翻訳で無料というケースはありません。「トライアル翻訳」と呼ばれる、翻訳品質を事前に確認するための無料サービスはありますが、これもその後に控えている有料翻訳の(事前)付加サービスなので単体での(無料)利用はできません。

また、プロ翻訳者による翻訳に掛かる翻訳コストは、「クラウド翻訳と呼ばれる翻訳のクラウドソーシングサービスによる翻訳」から「専門性と翻訳難易度が著しく高く、高度な翻訳技術を必要とする翻訳」まで実に幅広いものです。

これらのことから、「機械翻訳」と「プロ翻訳者による翻訳」間の「翻訳コスト」の違いは次のように一覧化できます。

機械翻訳 無料~低価格
プロ翻訳者による翻訳 低価格~高価格

翻訳納期

「機械翻訳」と「プロ翻訳者による翻訳」、次の違いは「翻訳納期」です。

機械翻訳の翻訳納期

言うまでもなく機械翻訳は短時間で翻訳が完了します。プロ翻訳者による翻訳では「数時間から数日、数十日、数か月」といった単位で必要な翻訳納期も、機械翻訳であれば「数秒から数分、数十分」といった単位で翻訳を終えることが可能です。

これは言語を機械的に処理(転換)し最適なかたちで吐き出すというその仕組みから考えれば当然ですが、従来は使いものにならないとされていたその結果が、冒頭のとおり近年かなり「使えるものになりつつある」というところが特筆すべき点です。

ただし、「使える」といっても「そのまま使える」ものではないことに注意が必要です。

プロ翻訳者による翻訳の翻訳納期

前述のとおりプロ翻訳者による翻訳には一定の時間、日数が必要です。

翻訳のクラウドソーシングサービスである「クラウド翻訳」を利用すれば、サービスを介すとはいえプロ翻訳者と直接やりとりをすることができるので最短数分から数十分といったスピードで翻訳を済ませることができる場合もありますが、エージェントと呼ばれる翻訳会社を通す場合は、問い合わせから営業担当者との打ち合わせ、発注といった手順を踏む必要があるため、どれだけ早くとも半日や一日といった単位が必要になります(事前に体制を構築しておく場合はそのかぎりではありません)

これらのことから、「機械翻訳」と「プロ翻訳者による翻訳」間の「翻訳納期」の違いは次のように一覧化できます。

機械翻訳 数秒~数分、数十分
プロ翻訳者による翻訳 数時間~数日、数十日

翻訳品質

「機械翻訳」と「プロ翻訳者による翻訳」、次の違いは「翻訳品質」です。

機械翻訳の翻訳品質

機械翻訳による翻訳の品質は、機械翻訳というソフトウェアに使用されているエンジン(機械翻訳エンジン)の精度に依存します。機械翻訳そのものについては以下をご参照ください。

⇒機械翻訳についてはこちら
⇒ルールベース機械翻訳についてはこちら
⇒統計的機械翻訳についてはこちら
⇒ニューラル機械翻訳についてはこちら

機械翻訳エンジンとは機械翻訳ソフトウェアに於ける心臓部であり、最新のニューラル機械翻訳エンジンからカスタマイズしたものまで含めると数十種類あると言われています。GoogleやMicrosoft、IBMまた、国内では国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)が開発したニューラル自動翻訳エンジンなどが有名です。

機械翻訳した場合の品質は、翻訳支援ツールとの連携性や対応しているファイル形式やユーザビリティなど、単に機械翻訳エンジンの性能だけで語れるものではありませんが、機械翻訳エンジンの開発は前述の各社がそれぞれのアプローチで日々しのぎを削っているため、使用時はその適性や運用実績などをよく考える必要があります。

また、その著しい翻訳精度向上は間違いなくも、機械翻訳したものそのままで使用に耐えうるかどうかについては、翻訳の目的や用途、期待する成果に応じて細心の注意を払わねばなりません。

プロ翻訳者による翻訳の翻訳品質

プロ翻訳者による翻訳の品質も、機械翻訳同様、翻訳者のレベルによって幅広く分布するものです。長い経験と豊富な実績を誇り、翻訳会社や企業から引く手数多なプロ翻訳者の翻訳品質は著しく高く、クラウドソーシングサービスなど比較的参入障壁の低いゾーンでのみ翻訳を受託している翻訳者のそれとは比較にならないのが実情です。

ただし、翻訳品質に於ける良し悪しは数値的に明確な基準があるわけではありません。また、「ある程度以上、ある程度以下」といったあいまいな尺度で判断できるものでもありません。翻訳品質は、翻訳する目的と期待する成果に最適なものがもっとも良いとされるのです。

わかり易くいうとTPOによって良い悪いと判別されるのが翻訳であり、その要素には翻訳品質だけでなく、翻訳コストや翻訳納期といった翻訳サービスに必要なものがすべて含まれます。

これらのことから、「機械翻訳」と「プロ翻訳者による翻訳」間の「翻訳品質」の違いは次のように一覧化できます。

機械翻訳 低品質~中品質
プロ翻訳者による翻訳 中品質から高品質

尚、余談ですが「機械翻訳」と「プロ翻訳者による翻訳」の折衷案と言ってもよい「MTPE(ポストエディット)」という手法が翻訳業界では近年活況ですが、これなども機械翻訳の翻訳品質がいまだ実用レベルではないことの証左です。

⇒MTPEについてはこちら

セキュリティ

「機械翻訳」と「プロ翻訳者による翻訳」、次の違いは「セキュリティ」です。

機械翻訳のセキュリティ

先述のとおり、Google翻訳やDeepLといった一般公開されている機械翻訳サービスはブラウザー上やアプリ上での利用が誰でも可能です。ただし、ブラウザー上に翻訳が必要な原稿(原文)内容を直接入力(またはコピペ)する必要があること、また、アプリの場合もオンラインでの利用となり同様のプロセスをたどるため、セキュリティは決して高いとは言えません。

一般公開、無料利用と引き換えに入力されたデータを収集している、とも言われる無料機械翻訳サービスですので、その利用に於いては十分注意する必要があるのは間違いありません。また、買取、月額利用といった有料機械翻訳サービスについても、オンプレミスとクラウドという違いはあるものの、データのハンドリングについては同様に注意が必要です。

有料機械翻訳サービス提供各社はもちろんセキュリティに万全の体制を整えた上で事業展開をしているので、セキュリティが低いからと機械翻訳を選択肢から外すのではなく、各社のセキュリティポリシーをしっかりと確認した上でのご利用をお勧めします。

プロ翻訳者による翻訳のセキュリティ

プロ翻訳者による翻訳は、機械翻訳に比べるとまだセキュリティは高めといって良いでしょう。ただし、介在する人員数や翻訳が必要な原稿(原文)ファイルまたは、紙媒体でもその送受信、郵送、配送過程に於いてリスクがないわけではありません。

また、翻訳者や翻訳会社のPC、ハードディスク、サーバなどに一時的に保存されるデータも、同様のリスク下にあることは間違いありません。機械翻訳に比べると誤った動作または、操作で情報が一気に流出するというリスクはほとんどなく、悪質なアクセスや故意の情報漏洩がないかぎりデータの安全性は高いという点ではプロ翻訳者による翻訳のほうが勝る、いった程度の認識が必要でしょう。

しかし、セキュリティ保護については機械翻訳サービス提供会社もプロ翻訳者による翻訳サービス提供会社の最近特に神経をとがらせているため、必要以上に神経質になる必要はないと思われます。

これらのことから、「機械翻訳」と「プロ翻訳者による翻訳」間の「セキュリティ」の違いは次のように一覧化できます。

機械翻訳 無料サービスは注意が必要、有料サービスはセキュリティポリシーを確認
プロ翻訳者による翻訳 総じて高いと言えるが各社のセキュリティポリシー確認が必要

品質保証

「機械翻訳」と「プロ翻訳者による翻訳」、最後の違いは「品質保証」です。

機械翻訳の品質保証

機械翻訳は、機械翻訳エンジンが弾き出した翻訳結果がすべてであり、依頼主が望むまたは、期待した品質が保証されるわけではありません。先述のとおり機械翻訳による翻訳の品質は、機械翻訳というソフトウェアに使用されているエンジン(機械翻訳エンジン)の精度に依存するからです。

よって、機械翻訳を使用する場合は、それに翻訳結果(翻訳品質)を翻訳後に問うのではなく、翻訳する目的や翻訳に期待する成果に応じて最適な機械翻訳エンジンを積んだ機械翻訳サービスをあらかじめ選択する、といった発想の逆転が必要になります。

平易な内容やさほど翻訳品質が問われないドキュメント(文書)、たとえばビジネスレターや社内用のドキュメント(文書)、SNS投稿用の記事やECサイトに掲載する製品(商品)スペックや短文の説明書き程度であれば機械翻訳した結果をそのまま用いても問題ないかもしれませんが、契約書や経営理念、規約その他マーケティング資料など翻訳品質によっては重大な問題を引き起こす可能性があるため、安易な利用は避けるほうが賢明でしょう。

プロ翻訳者による翻訳の品質保証

一方、プロ翻訳者による翻訳は品質が担保されるものです。なぜなら、担保しないと翻訳者や翻訳会社がもっとも避けたい「品質クレーム」につながるからです。

機械翻訳と異なり、プロ翻訳者による翻訳は依頼主が翻訳する目的や翻訳に期待する成果を十分にヒアリング、汲み取った上でそれに最適な翻訳を提供する義務があります。それが機械翻訳と比べて翻訳コストが高く理由だからです。

プロ翻訳者による翻訳に於いては品質保証は当然であり、どこまでの品質を提供できるか、維持できるか、保証し続けることができるかが翻訳者や翻訳会社が差別化しているところです。

技術翻訳を得意としている、実務翻訳を得意としている、映像翻訳を得意としている、文芸翻訳を得意としているなど、翻訳者や翻訳会社によって得手としている部分は異なります。また、実務翻訳といっても金融分野の翻訳を得意としている、法律分野の翻訳を得意としている、医療医薬分野の翻訳を得意としている、特許関連の翻訳を得意としているなど各翻訳者、各翻訳会社によって各様です。

利用者によってわかり易いため分野で自分、自社の得意ジャンルを表現していますが、すべてに於いて求められる品質は異なるため、これは各人、各社によって保証している翻訳品質が異なるとも言えます。

これらのことから、「機械翻訳」と「プロ翻訳者による翻訳」間の「品質保証」の違いは次のように一覧化できます。

機械翻訳 品質保証なし。ユーザーによる機械翻訳エンジンの選別が必要。
プロ翻訳者による翻訳 品質保証あり。翻訳者や翻訳会社の選別は必要だがいずれでも品質は保証される。

まとめ

以上、「機械翻訳とプロ翻訳者による翻訳 5つの違い」でしたがいかがでしたでしょうか。

本記事は、「機械翻訳」や「プロ翻訳者による翻訳」のいずれかを推奨するものではありません。なぜなら当社は、「翻訳する目的や翻訳に期待する成果によって両者を賢く使い分けることが肝要」と考えるからです。

とは言え、「機械翻訳とプロ翻訳者による翻訳のいずれが最適か判断が付かない」といったご状況におられる方がほとんどだと思いますので、そのようなときは厚かましくさまざまな両サービスそれぞれを提供している会社に問い合わせ、相談してみてください。

それぞれ自社サービスを推奨してくると思いますが、お客様ファーストに真剣に取り組んでいる翻訳会社であれば、自社への発注の有る無しにかかわらず、相談者にとって最適、最善な方法を提案してくれるはずです。また、いずれかのサービスを利用することにした場合でも、「問い合わせ、相談したときの対応がもっとも良かった翻訳会社」「またはそこが推薦した方法」を選択すればおそらく、大きな失敗は避けることができるでしょう。

機械翻訳かプロ翻訳者による翻訳かでお悩みの方は、どうぞお気軽にお問い合わせください。

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