マイナー言語の翻訳における5つの注意点

マイナー言語の翻訳における5つの注意点「世界120か国語対応」と多言語対応力を強みのひとつとする当社ですが、翻訳を依頼されるドキュメント(文書)の内容が多岐に渡るのと同じく、翻訳を求められる言語は実にさまざまです。

翻訳は、普段あまり馴染みがなく、意識することも少ない作業ですので知名度の点からも仕方ありませんが、翻訳業界で流通している言語および、その物量は想像以上にバリエーション豊富なのです。

本記事では、翻訳を求められる言語のうち「マイナー言語」と呼ばれるものにスポットを当ててお届けします。

マイナー言語とは?

翻訳に於ける「マイナー言語」とは、流通量の少ない、つまり翻訳需要の少ない言語のことを指します。需要の少ない言語とは日常生活で耳にすることがほとんどない言語ですので、逆に「よく耳にする言語」をイメージすれば「それら以外の言語」としてすぐにおわかりいただけるのではないでしょうか。

「マイナー言語」の反対は「メジャー言語」と呼ばれますが、それぞれ具体的には次のとおりです。

メジャー言語
英語、中国語、韓国語、ドイツ語、フランス語、イタリア語、スペイン語、ポルトガル語、ロシア語、アラビア語など
マイナー言語(=メジャー言語以外の言語)

■ヨーロッパ地域

デンマーク語、ノルウェー語、スウェーデン語、フィンランド語、アイスランド語、クロアチア語、ハンガリー語、ルーマニア語、など

■アジア地域

タガログ語、ベトナム語、ラオス語、クメール語、タイ語、ビルマ語、マレー語、インドネシア語、ヒンディー語、など

■中東地域

トルコ語、ペルシャ語、クルド語、ヘブライ語、など

■アフリカ地域

スワヒリ語、アフリカーンス語、クレオール語、ソマリ語、ルワンダ語、など

 

万国共通語である英語を除き、翻訳を必要とする言語は経済状況にリンクします。つまり、経済大国であればあるほどその言語は使用機会も翻訳が必要になる機会が多いということです。

これは、成長著しい新興国も同様で、アセアン言語はここ数十年、翻訳の需要が高まっています。「経済に動きあるところに翻訳需要あり」ということです。

マイナー言語に分類されるものでも、アジアに住む人にとってタイ語、ベトナム語、インドネシア語などは母国語または、メジャーと呼んで差し支えない重要な言語であり、ヨーロッパに住む人にとっては北欧、東欧言語もメジャーな言語という意識をお持ちのことでしょう。逆に、今はメジャーに分類されていても将来的にはマイナーとされる可能性のある言語も多々あるでしょう。

言語は、それを母語とする人がいなくたったときに絶滅するものであり、消滅言語は「十日に一つ」とも言われていますが、これらは植民地政策、第二言語の存在、教育やインターネットの普及などによるものです。

このような言語の栄枯盛衰も視野に入れて行なうようにすれば、翻訳はより目的に合った、長期的な成果につながるものとなるでしょう。

マイナー言語の翻訳者

言うまでもなく翻訳者は「ある言語で書かれたものを他の言語に翻訳する」ことで対価を得ています。当然ながら需要が多く、流通量の大きな言語ほど仕事の数も多いので、そこに集まる翻訳者は多いものです。

裏を返せばマイナー言語は「その言語での翻訳が必要となる機会が少ない」ため、翻訳者の立場からすれば「その言語を極めても十分な生活の糧を得ることができない」のが実情です。つまり、「マイナー言語の翻訳者は少ない」ということです。

ちなみに、当社に翻訳のご依頼をいただく際に求められる言語の構成比は次のとおりですが、翻訳者、翻訳会社によってその構成は変わるものの、出現する言語については(日本の場合)どこもほぼ同じだと思います。

取扱言語比率

翻訳にかぎったことではありませんが、関わる人が多いほど競争原理が働くので、品質は上がりコストは下がるものです。日本の翻訳市場でもっとも翻訳者の数が多いのは「日本語⇔英語(英訳、和訳)」であり、次は「日本語⇔中国語(中国語訳、和訳)」で間違いないでしょう。

それ以下の言語については正確にわかりませんが、スペイン語、ドイツ語、フランス語といったメジャー言語を専門とする翻訳者はかなりの数いることでしょう。ロシア語の翻訳者も多いかもしれません。

翻訳者の数という母数が多ければ、ドキュメントの種類や分野など、専門特化することによって翻訳者は差別化を図ります。つまり、メジャー言語の翻訳であれば「かなり深い層までブレイクダウンしても、翻訳者の選択が可能」ということです。

しかし、マイナー言語は「翻訳者の数」という母数が十分ではないことから競争には至らず、得意分野の差別化どころか「その言語の翻訳ができるだけで十分」といった状況になります。

少し乱暴なまとめ方になりますが、「メジャー言語では可能な翻訳者のえり好みも、マイナー言語では行なえない」ということです。

マイナー言語の翻訳料金

繰り返しますが需要と流通量が少なく翻訳者の数が少ないということは、同じ言語を得意とする翻訳者、翻訳会社間の競争原理が働かないため、マイナー言語の翻訳料金は下がりにくくなります

労働集約型産業である翻訳ではさすがに「翻訳料金が一桁違う」といった状況には陥りませんが、それでも英語や中国語などのメジャー言語の料金とマイナー言語のそれとでは、二倍近い料金差が生じることもままあります。

逆に、メジャー言語の翻訳市場に於ける価格競争は激しく、安値を売りに攻勢をかける翻訳者、翻訳会社の提示する翻訳料金は、同業他者(他社)の半分以下ということもよくあります。

よってますます、「メジャー言語の翻訳料金と比べてマイナー言語の翻訳料金は極端に高い」と感じることになりますが、このような背景を念頭に「マイナー言語の翻訳料金を単純に、メジャー言語のそれと比較する」のは止めましょう

幸い、マイナーと分類されるのも、翻訳料金が下がらないのも、その言語の翻訳需要が少ないからです。よってメジャー言語と同時に発生した翻訳ニーズであっても、「マイナー言語の翻訳は別物としての対応が必要」といった思考が必要です。

余談ですが、「自社で抱えている(直接契約している)のはメジャー言語の翻訳者だけ」であるにもかかわらず、「多言語対応が可能」と謳う翻訳会社は案外多いものです。

このような翻訳会社は同業他社に丸投げすることによって多言語の翻訳に対応しているため、これもひとつの、マイナー言語の翻訳料金が上がる原因です。

尚、後述しますがマイナー言語の翻訳コストを下げる方法はあります。一人の翻訳者または、ひとつの翻訳会社に依頼すれば一度で用事が済む、といったワンストップの利便性はなくなりますが、どうしても翻訳コストを下げる必要がある場合には効果的な方法です。

マイナー言語の翻訳分野

前項「マイナー言語の翻訳者」でご説明したとおり、マイナー言語に於いては「翻訳者の数」という母数が十分ではないことから得意分野の差別化にまで至っておらず、「その言語の翻訳ができるだけで十分」といった状況に陥りがちです。

メジャー言語に於いては「○○分野で使用される→○○に強く→そのなかでも特に○○を専門とする」のように細かなところまで要求しても、対応できる翻訳者、翻訳会社が見つかる可能性は高いです。

しかし、マイナー言語に於いては「○○語に対応できる翻訳者(専門分野不問)」のように大幅に条件を緩和しないと、対応できる翻訳者、翻訳会社が見つかりません。

メジャー言語と比較すると「分野の特化ができないのに翻訳料金は高い」ことでどうしても矛先となりがちなマイナー言語ですが、高い要求を突き付けるがあまり「では残念ながらご対応いたしかねます」と辞退されて困るのは依頼主です。

翻訳料金同様、マイナー言語の翻訳分野については「メジャー言語とは別物」という思考が必要なのです。

余談ですが、マイナー言語に於いては余裕あるスケジューリングも重要です。先述の通りそもそも対応できる翻訳者が少ないため、メジャー言語と比べると翻訳者のアサイン(選定、任命)に時間がかかります。

また、マイナー言語に対応する翻訳者、翻訳会社の実績や経験は、メジャー言語のそれと比べて少なくまた、対応も不慣れであるため、翻訳プロセスも通常より長めにかかるものです。

よってマイナー言語の翻訳を依頼する際は、納期の面でも依頼先に余裕を与えることが肝要です。

マイナー言語の翻訳方法

予算の都合上など、マイナー言語であっても翻訳料金を下げたい場合は、「その言語を母国語とする国にいる翻訳者または、翻訳会社の利用」を検討してみることも一手です。

前項「マイナー言語とは?」でご説明したとおり、日本市場に於いてはマイナーと分類される言語も、それを母国語とする国または、近隣国にとってはよく耳や目にするメジャーな言語です。

当然ながらそれらの国々は翻訳する機会にも恵まれているため、競争原理が働くと同時に為替も手伝って、コストダウンが図れる可能性があります。

ただし、一方の言語が日本語である場合、(対応できる翻訳者の数が極端に減るため)マイナー言語であればあるほど、それを母国語とする国または、近隣国での対応は難しくなります。

よってマイナー言語を含む多言語化を一気に進める場合などは、先に日本語から英語に翻訳(英訳)しておき、次にその英文(英訳したもの)を元にマイナー言語へ翻訳することで翻訳コストダウンを図る、といった手段もよく使われます。

× 日本語 → 【マイナー言語A、マイナー言語B、マイナー言語C】

○ 日本語 → 英語 → 【マイナー言語A、マイナー言語B、マイナー言語C】

 

「同じ言葉で仕事が依頼できる翻訳者、翻訳会社にワンストップで依頼できる」という利便性は低下しますが、重視する点が「翻訳に掛かるコスト」なのであれば、手間をかけることによってそれを抑えることが可能なのです。

まとめ

以上、「マイナー言語の翻訳における5つの注意点」でしたがいかがでしたでしょうか。

本記事のポイントは、

  需要と翻訳者の数 翻訳料金 翻訳品質
メジャー言語 多い 下がり易い 向上し易い
マイナー言語 少ない 下がりにくい 向上しにくい

 

ということです。

最後に、Google翻訳などAI技術の進歩に伴い精度向上の著しい機械翻訳でも「多言語対応」を謳うものがありますが、マイナー言語の翻訳をこれで賄うことは早計です。

機械翻訳は膨大な数の「原文と翻訳文がセットになったもの(コーパス)」をデータベースとして蓄積すること、そしてそれをAIによってより精度高く活用して翻訳文を出力することで機能していますが、マイナー言語ではそもそもこの、「データベースの量」がメジャー言語と比べて少ないのです。

繰り返し述べてきた「マイナー言語の翻訳需要と流通量」に基づく結果として当然ですが、潤沢なデータベースがなければ精度の高い翻訳を生成することは不可能です。

結果的に、機械翻訳も人間による翻訳同様、マイナーな言語であるほど高い翻訳品質は求めにくいものである、ということをご理解ください。

マイナー言語の翻訳でお悩みの方は、どうぞお気軽にお問い合わせください。

翻訳商社ノーヴァネクサスの翻訳・通訳・外国語人材サービス

英語、中国語、韓国語をはじめ、ドイツ語、フランス語、イタリア語、スペイン語、ポルトガル語、ロシア語、アラビア語など世界120か国語の翻訳、校閲/校正、通訳、外国語人材サービスをご提供しています。

民間企業様のグローバルビジネス、行政機関様や各種法人様の海外調査や外国人対応から個人様の外国語申請など、お客様の外国語、外国語人材に関するお困り事を解決します。

ご相談は無料です。お気軽にお問い合わせください。

翻訳商社

最新情報をお届けします